Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

コロナで自主療養中に観た「じゃりン子チエ」

先々週から流行りのコロナにかかり3、4日38度の熱でうなされてました。神奈川の自主療養は10日間外出禁止なので、熱が下がると暇していました。部屋で監禁状態だったためやることはもっぱらスマホを見るばかり。 youtubeで「じゃりン子チエ」があったので、大阪下町の雰囲気を楽しもうと観てみました。


www.youtube.com

関東の私としては、はるき悦巳の「じゃりン子チエ」は小学生の時に夕方再放送していました。観るものがなく仕方なしにみていた記憶があります。 内容はほとんど覚えていません。「のほほんとした漫画」という程度で、まさに時間があり過ぎて何もやることがない時に観るアニメだと思います。 床屋の棚にゴルゴ13と並んで置いてある印象です。コロナで暇をもて余していたから観れた作品です。しかし今観るととても面白いです。

TMSアニメ公式チャンネルのyoutubeでやっているのを見つけて観てしまいました。 元々は漫画アクションで1978年から1997年まで続いた漫画で、アニメは1981年から放送されていたようです。この年だと再放送と思っていたけどもしかしたらライブで観ていたのかもしれません。 映画にもなっており、あの高畑勲が監督です。今はネットフリックスでその映画を観ることができます。

どんな話?

どうしようもないテツという親父としっかり者の娘チエとの日常を描いた漫画です。テツは毎晩博打に入り浸り、入った金を全て花札のおいちょかぶに使ってしまう、親から暖簾分けしてもらったホルモン焼きのお店もありませうが、自分は何もせず娘のチエが経営しています。 そんな男なので奥さんとは別居していて、小学5年生のチエが父が寂しかろうと一緒に住んでいる状態です。途中からは奥さんも戻って一緒に暮らします。

こんな話なんですが、なぜ面白いかと言うと、今では考えられず、絶対に放送できないアニメだということです。TMSのyoutubeでも3話までしか観ることができません。(残念、、、、。)

なぜ放送できないのか?

親父のテツは完全にネグレクトなんです。さらに、奥さんも身勝手で娘を置いて出て行ってしまいます。奥さんは流石にチエには申し訳ないと思い、たまに会ったりしますが、しかし、娘をロクでもない親父のそばに置いて出ていくとはなんとも勝手過ぎます。

多分、当時としてはこんな家族もいたんだと思いますが、なんともひどいです。ただ、そんな家族でも健気に前を向いて過ごしているチエを観て励まされていたのかもしれません。

その他には、暴力シーンが多いことです。テツは子供だろうが殴ります。頻繁に殴るシーンが多くて、さらにヤクザにも平気で喧嘩します。

もっと驚かされたのは映画で奥さんと再度一緒に暮らすことを祝うシーンで、仲人だった元教師がチエに日本酒を飲ませるシーンがあります。あの高畑勲がそんなシーンを監督してしまうのかと驚きです。いい意味で裏切られた感じです。

さらにテツは今観ると典型的なADHD発達障害の最たる人物です。何をしてもうまくいかず自分の思いが周囲に伝わらなず失敗ばかりしてしまいます。一人でなくシーンなどもあります。

全て笑い飛ばすこと

しかし、そんなADHDのテツを周囲は寛大に受け入れます。どうしよもなく全く成長しないテツに困り果てますが誰も見捨てません。小学5年生のチエですら親父を見捨てず一緒にいることを望んでいます。結局みんな笑顔になって笑い飛ばします。 最近このブログではずっと日本人の事を取り上げていました。自分の中で「日本人はどうしてこうなんだ」という漠然の疑問を持っていて、その答えが『菊と刀』を読んで見つけたように思っていました。しかし、その後、同じ時期にまとめられた『日本人の性格構造とプロパガンダ』を読むと、どうもこの日本人に対する印象はアメリカ軍が占領中に行ったWGIPによるものなのかも知れないと思い始めました。

じゃぁ、一体本当の日本人ってどんな性格でどんな民族なのかなとずっと考えていました。「じゃりん子チエ」を観るとこれが本来の日本人のような気がします。そこまで好戦的ではなく、健気に今ある状況を楽しく謙虚に生きられる、そんなのが本来の日本人なのかも知れません。

しかし、今の世の中はどうしても効率を求めて、いかに早く、いかに問題が起きないようにするかばかり気にしている様に思います。今の世の中ではテツの様な人物はすぐに刑務所に入ってしまいます。周囲も煙たがれてしまいます。これは先に紹介した本の中にも日本人の特徴として身内に厳しいという表現がありました。しかし確かに「じゃりん子チエ」でも周囲に迷惑をかけたテツに対して叱るシーンは多くありますが、ただそれが冷たくあしらった様な仕打ちではありません。

このアニメも80年代に書かれた漫画です。なので、徐々に価値観が変わりつつある状態を描いてるのかも知れません。漫画を観て思ったのが、今の日本人は物事を笑い飛ばす事ができなくなってしまったのではと感じました。