Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

【ネタバレ注意】ジブリ「君たちはどう生きる」を観てきました。

先日話題のジブリ映画「君たちはどう生きる」を中学1年の娘と観に行ってきました。数年ぶりの宮崎駿映画だそうです。 このブログはガッツリ映画の本編の内容を書いて自分の考えをまとめたいと思います。 まだ観に行っていない人や、ネタバレが嫌な人は読まないでください。

特に事前知識は何もなく、ポスターの印象のみで望みなした。

印象派「駿も年取ったな」って感じです。 まぁ、ジブリ全体が年取っていますよね。鈴木敏夫氏も歳とって若い女性にくびったけ状態で、若い頃に頑張って今は自由にやっている感じですよね。 この映画もそんな感じです。

あらすじ

とりあえずあらすじを言わないと何も始まらないので、あらすじから。 時代は、1940年くらいでしょうか戦争真っ只中の話しです。冒頭の10分程度の様子を見ていると、「風たちにぬ」の様な印象を受けました。 「あぁ、歳とって自分の小さい時の心象風景を作品に作ったんだろうな」という感じです。

主人公は飛行機メーカーの重役の息子の様です。 先に言っておきますが、私は特にジブリファンでも宮崎駿ファンでもないので、この映画を岡田斗司夫ばりに細かい演出や小道具の背景など全く調べる気をなく、ただ自分の感じたままに感想として書いていきます。

母の死

話を戻すとその当時の上級国民の息子は凛々しくしっかりしている印象の男の子です。 映画冒頭では、夜中の火事のシーンから入ります。多分東京のどこかの大きな病院が火事になります。そこから数キロ離れたところが主人公が住む豪邸です。召使が多く同居している豪邸から、数キロ離れた病院が火事だとわかります。主人公の母親がこの病院に勤めており、その日も夜勤だった様です。飛び起きて、火災現場まで走りにいきます。 ここの描写が結構印象的で、この映画の最大の見せ場なのではと思おいました。

母親と似た人

結局母親は助けられず。主人公一家は1年後に田舎に引っ越しすることになります。 田舎の駅に着くと、死んだ母親と似ている女性が二人を迎えに来ます。 父親とその女性は親しげに話して、会社に向かい、息子とその女性は家に向かいます。後にこの女性は新しい奥さんとなります。

この映画の最大の魅力は説明が非常に乏しいという点だと思います。逆に説明がないからこそ興行収益も他と比べて低くなっている原因だと思います。 このシーンなどもまさにその事を示しています。 女性と父親の関係や、女性自体の背景を全く説明しません。

鬼滅の刃」など下手な脚本のアニメなどは全てキャラクターが説明します。でも実際にリアルな生活で第三者にその人の説明をいちいちするでしょうか?この映画では、考えない観客は放っておくという姿勢がわかります。今までのジブリ映画は鬼滅まではいきませんが、もう少し説明的に演出していた気がします。

少年の涙

新しい新居も豪邸です。多くの召使がいます。 岡田斗司夫の受け入りですが、駿の映画は常にひとつの大きな流れがあります。 出会いがあって、それが精神的な落ち込みがあり、最後に解放されていく流れだそうです。これは「カリオストロの城」から、「ナウシカ」、「千と千尋」などなど、全ての駿映画に共通した流れがあります。

今回の映画でも同じです。そして、この豪邸を紹介するシーンも同じです。 「となりのトトロ」でメイとサツキが新しい新居の各部屋を紹介するシーン、「千と千尋」で千尋が旅館を案内されるシーン、「ラピュタ」で海賊船で船内を紹介されるシーン、これらはこのシーンで新しいステージ全体を紹介している感じです。

ひと通り豪邸を紹介されて最後に自分の部屋を紹介されます。少年はひとり部屋に用意されたベットに座り、母の事を思い泣き始めます。 今までの緊張が解けて、母の死から初めて泣いたような感じだと思います。

サギとの出会い

少年がひとりで部屋で泣いていると、その様子をポスターに描かれたサギがのぞき込みます。 ここから話が少しづつ最初の印象から離れていきます。 リアルな現実路線の話かと思ったら、「ポニョ」の様なファンタジーに移っていきます。 これが単純な少年の心象を表現しているモチーフなのかと思いきや全く違ってきます。ここまで来ると話の半分に達した感じで、残りの半分はファンタジーになっていきます。

つまり、このサギがリアルな物語からファンタジーに分岐する点なんだと思います。 あらすじの説明ですが、この粒度で説明していくと大変なので、この後のファンタジーのところはざっと説明します。

この後のあらすじ

この後、少年はこの不思議なサギを追いかけて、豪邸の離れにある離れの家に向かいます。 頭のおかしい元天才の叔父がひとりで住んでいた、離れは災害によって道が封鎖されて廃墟となっていました。詐欺に連れられて女中と一緒に迷い込んでしまった少年はここで、不思議な世界に迷い込みます。

これが先ほど言っていた精神的な落ち込みを表すシーンです。 ナウシカで言うと腐海の底や、千と千尋だとクモのお爺さんがいた所、ラピュタでも地下を彷徨うシーンがあります。 このシーンでは主人公がそれまでの緊張感から癒やされ大きな事に気づいていく成長していくシーンになります。

物理的に降ったあとは、それを登るだけです。登った後にラストとなりなります。

結局この映画は、、、

ざっとあらすじを話しました。正直この映画は今までの日テレが宣伝しているジブリ映画を期待している人からすると何も理解できないと思います。なぜなら自分で解釈して理解しないとわからないからです。 今までのジブリ映画ってなんとなく「キャラクターが可愛い」、「自然が出てくるから環境破壊」と言う短絡的な解釈ができないようになっています。正直何を伝えたいのかもいまいちよく分からず、見せられている観客はどうしていいのか分からなくなります。

さらに、タイトルが壮大なだけあって、「観客的は「あなたたちはどう生きますか?」と言う壮大ななんとなく答えがある様な疑問符が投げかけるんだろうな」と思っているかもしれませんが、その疑問符自体見当たらなず、放り投げられた様な感じになります。 多分、それ自体がこの映画の大きなテーマで、やはり自分でこの映画を解釈しないと消化できないようになっていると思います。だから、宣伝もさせないしパンフレットも当初売らかったんだと思います。

宣伝とかをすると、バカな代理店がわかった気でコピーを作って、わかった気で概要を作成して、解釈を作っていく。客はその解釈を受けて映画をみて、「素晴らしい」ってバカみたいに洗脳されていきます。多分、これを壊したかったのが最大のテーマな気がしました。

テーマ自体はそんな感じなんだろうなと思いました。

ジブリ史上最低な主人公

私が思うこの映画の最大の謎は、主人公が新しい学校に行くシーンです。 重役の息子ということもあり、学校では特別視されて入学します。初日の帰りぎは学校のいじめっ子達と喧嘩になります。 喧嘩後、家に帰るシーンで主人公は自ら大きな石で自分のこめかみに傷をつけます。 傷をみた両親は困惑します。特に新しく母親となった女性は、自分がしっかり見ていなかった事を嘆きます。

これがどういう意味なのかさっぱりわかりません。 いじめっ子達と喧嘩して、勝ったのか負けたのかもわかりません。なぜ少年は自ら自分を傷つけたのか、その後に学校に通っていたのか/いなかったのかなどなど、ただ最後にファンタジーの世界で少年は新しい母親に自分で傷つけた事を明かします。

このことから、少年は自分の母が死んで涙を我慢できるくらい立派な少年だけれども、周りから憐れみが欲しくて自作自演してしまうやましい人間なんだと思います。極め付けは、この少年の父親です。新しく妻になった女性は火事で死んだ奥さんの妹さんです。1年後にその妹さんが住んでる家に訪れますが、この時点で妹さんは妊娠している設定です。つまり、奥さんが亡くなった数ヶ月後には妹さんと繋がっています。 しかも、妹さんは昔からこの父親に思いを寄せていた様な感じです。

つまり、この映画に出てくる人物は誰も純粋潔白な人間でもなんでもなく、自分の名誉のために、自分の保身しか考えていない最低な人間たちなんだとわかります。 ここまで考えると、この作品は、人間として未熟でどうしようもない姑息な少年が、いろんな体験を経て自分や周囲を受け入れて大人になっていく物語なんだと思いました。