Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

ベネディクトが予見していた日本の未来〜『菊と刀』を読んで

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菊と刀』を一章ごと細かく読んできました。自分の中でも常々「日本人ってどうしてこんななんだ」と残念になることがあり、今回それが色々と理解できた様に思います。もちろん自分自身が日本で生まれて、日本で育っていて、99%日本人に囲まれた生活をしているので、ある意味日本人しか知らない分際で日本人を比較した穿った見方をするのもおかしいのですが、テレビの影響なのか、日本人のおかしな点を感じることがあります。

菊と刀』はアメリカの女性文化人類学者が戦後に出版し、当時日本でもベストセラーとなり、教科書にも掲載された本です。著者であるルーズ・ベネディクトは最後の章でこれからの日本の在り方、進むべき方向を彼女なりに示していました。 今、読んでみると彼女の見立て通り、日本は進んでいるのかもしれません。

日本人の文化や習慣について

ベネディクトは自分か研究していた事や周りの日本人への想いもあるのか、日本の人生観や文化を全く否定していないように思います。むしろ日本人の精神は他の人種が真似できないような事をしているくらいに思っていると思います。 むしろ、現代に生きる我々の方が日本人の文化を否定しているのかもしれないです。本の端々に日本の文化への驚きが読み取れます。

戦後直後の変わり身の早さ

このブログでも何度も取り上げさせていただいている養老孟司氏は、戦争中は小学生で戦後の日本の誰もが負けた直後に手のひらを返したように変わった事を皮肉めいて言っています。しかし、ベネディクトは、その考えの変化は日本人を研究していると当然の如く受け止めています。 自分達の考えていた理想的な国家を目指し、戦争に突き進んでいったが、あえなく撃沈された。しかし、我々日本人はそのために突き進んできた努力は変わらず、「あれがダメならこれだ」というように目的を変えまた突き進むだけです。

原理原則に基づく国民であれば、自分達の目的を納得して行動を起こすのだが、日本の場合は、原理原則をもとにした目的自体がそもそもないまま抽象的な根拠のない目的であるが故にいくらでも変化することができ、それが納得しようがしまいが進むことができる民族だと言えます。

アメリカに誘導され続けている日本

陰謀論的に「アメリカのGHQが日本をダメにした」というような話がまことしやかに話されているが、この本を読むとその本質がわかる気がします。 最後の数ページでベネディクトが日本に大きな期待をしていることがわかります。それもアメリカの民主主義のサポートを受けながら、変わり身の早い日本であれば、今後の経済的な発展もあり得るだろうという様な内容です。これは今から思うとまさに高度経済成長のことであります。 戦後直後の日本の新聞各社はアメリカの民主主義を絶賛します。今まで自分達が掲げた全体主義を最も簡単に投げ捨てて、アメリカの民主主義を受け入れられたのは先述した通りです。日本はカメレオンみたいな国で、その背後の色が変われば自分達も容易に変わることができる国なのです。 ただ、それは変えられない何かを持ち続けている国からすると脅威と捉えられても仕方がないでしょう。 いつまた軍国主義に染まるかわからない国とも言えます。 そんな日本を恐れ、徐々に民主主義に染めていくような戦略計画があったとしても不思議ではないように思います。さらに、2022年に起きているロシアによるウクライナ侵攻を目撃した日本の世論は防衛を強めることに傾きつつあります。

ベネディクトは日本が大国を肩を並べられるのは、世界が平和であれば、日本はそれに追いつこうと頑張り平和的な大国を目指すと言っています。つまり世界が平和であれば、その方向に向かい、逆に世界が不穏な雰囲気であれば、その方向に向かっていくと言えます。

後記

何回かに分けて『菊と刀』を書いてきました。これを読んで日本人を理解できたと思いますが、さらに色々な疑問も浮かんできました。本を読んでいても、今とだいぶ違う点も感じています。また、最後の章で出てきた日本の復員兵による秘密結社などの話は、戦後の日本にどのように影響を与えたのかも気になります。