塩田明彦監督の『映画術』が面白すぎる。映画美術学校アクターズ・コースの共通講義として行われた「映画表現論・演技と演出」の内容を本にしたものだ。塩田監督が持っている演出、演技に関する考えを実際の影響を受けたシーンなどをもとに構成されている。ただ、紹介されている映画が結構マニアックなので、ここでは、本の中で紹介されている映画を淡々と張っていこうと思う。
第一回「動線」
映画の基本となるのが動線らしい。出演者がセットの中の動きによってそれぞれのキャラクターが持っている事情を表現する。そこで表げんしているのが以下の作品たち。
成瀬監督と溝口監督の作品を比較しながら動線のあり方を説明しています。
その他、成瀬監督の作品として『乱れ雲』が紹介されています。
加山雄三のこの頃の映画を見ると、本当に今のアイドルなみだったんだなと感じます。
この回の最後に紹介されていたのが『裸のキッス』です。
動線の回では、最初の『乱れる』を中心に説明されていますが、この乱れるでは、橋を渡るシーンで義理の弟役の加山雄三と、その義理の姉の高峰秀子との関係を橋という一線で表現しているそうです。この橋の関係が2人の関係にひも付き、映画の最初と中盤、最終の中で印象的に使われているそうです。
このことで見ている側にその関係性をなんとなく見ている人に伝えているそうです。
なかなか、映画を見ている人でないと気づかない演出ですが、昔の映画を見るとこの様な演出が多く含まれているいます。どうしても、今の映画はCGなどの演出に頼った感じで、この様な人間性の感情を映画の画面構成や演技で表現しているのが少ないように思います。