アンジェリーナ・ジョリーの映画『UNBROKEN』が日本では非公開
どこの国にもその国の都合上「あまり国民にみせたくないなー」ということで上映禁止になった映画ってけっこうあると思います。町田氏「未公開映画を観る」という本を読むよよく分かります。
- 作者: 町山智浩,松嶋尚美
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そして、北朝鮮の『インタビュー』の陰に隠れてなのか、アンジェリーナ・ジョリー監督作品の『UNBROKEN』が日本で非公開となっています。
話は太平洋戦争の時に起きた「小笠原事件」の事を描いているようです。
小笠原事件は小笠原諸島父島で墜落した米軍爆撃機の乗員が捕虜になり処刑された。8人のうち5人の肉体を立花小隊長が士気高揚のため食したと言われています。
こちらが予告トレーラーです。
Unbroken Official Trailer #1 (2014) - Angelina Jolie ...
敗戦後、立花小隊長以下27名はBC級戦犯として処刑されています。その当時の調書には食したとは書かれておらず「捕虜殺害」と「死体損壊」と記述されているそうです。
(私自身詳細が分からないのでもう少し深堀をしたいと思います。秦郁彦『昭和史の謎を追う 下』の32章に詳しく書かれているそうです。)
なぜ、公開されないのか
今回のの非公開の問題の争点としては、「なぜ、非公開になったのか」だと思います。冒頭の町田氏の著書の中でもアメリカでも多くの未公開映画があります。国民感情を刺激しすぎるために、公開できないことが多かったり一部の利権のために政治面から公開させないという動きが大きな理由だと思います。
ただ、そう考えると今回の映画の内容は日本が行った太平洋戦争のごく一部のことで、たぶん、日本が行った戦争はもっとひどい物だったと思います。ブログでも取り上げましたが『菊と刀』という本を読むと日本人がどれほど捕虜を軽視していたのかよくわかります。
日本人ってなんだ?〜『菊と刀』 - Noriyasu_Katano's blog
なので、戦争で描いているような捕虜に対してのひどい仕打ちは当時日常茶飯事で起こっていたと思います。まず、その事実を考えた方が良いと思います。これは日本人の持っている誇りの部分と非常に結びついている問題だと思います。
当時の日本人の心には「武士道」という物があったと思います。そのため、命に対する考えが他国とは大きく違いました。国に使えることや自分の武士としてのプライドなどに対して命をかけるところがありました。そのため、敵国の捕虜になるのであれば命を捨てる方がましという考えです。そのため、敵国の捕虜に対しても同じ心情だと判断していたことがあると思います。だから、捕虜を殺す事に対してそれほど大きな罪を感じていなかったと思います。
南京で起きた大量殺人に関しても同じ事が言えます。
秦氏の本を読むとその事実がよくわかります。直進する事だけしか考えておらず、捕まった捕虜の事など全く考えていないため、とても乱暴に表現すると、めんどくさくなって殺してしまったんだと思います。
作品内のカニバニズム表現に関して
作品内のカニバニズムに関してですが、カニバニズムの歴史は古くから存在します。これはチンパンジーにも同じようにチンパンジー同士で殺して食べるという行動が稀に観られるそうです。習慣としてカニバニズム自体は存在し、また、戦争中の貧困状態を考えると他にも存在したのではと思います。ただ、この問題はその心情にあると思います。もし、この事件が事実であれば、士気を上げるために敵国の人間を食うというのはあまりにも人権を無視した行動だと言えます。
もちろん、この事件が実際にあったのかが大きな争点だと思います。
公開しないという事実
最後に、公開されないという問題は、公開しないと判断した時点でこの問題が日本国にとって不利益な作品だということを裏付けています。作品自体の内容の善し悪しではなく、国民にとって何らかの不利益になるため公開できない事を理解することが重要だと思います。この問題はあまり報道で伝えていません。大きく問題はそこにあると思います。この様な作品が生まれ、それをこの国は公開しない判断をしている事実がとても重要だと思います。