Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

【ネタバレ注意】『鎌倉殿の13人』に見る日本人の萌えポイント

2022年5月1日(日)、NHK大河の『鎌倉殿の13 人』が放送された。20時のNHKで放送された直後にYahoo!ニュースで既に「義高ロス」が報じられる。なんとも準備していた演出が見えすぎて視聴者を馬鹿にしすぎている。 news.yahoo.co.jp

そんなことはさておき、この三谷幸喜脚本の『鎌倉殿の13 人』は日本人が萌えるポイントがよく描かれていると思った。 特に今回の「助命と宿命」に関しては、日本人が大好きな忠臣蔵を思わせる演出。こんな演出に萌えに萌えてしまうのが日本人だとつくづく感じてしまった。

どんな話だった?

どんな話だったかというと、同じ源氏の親族同士である、源頼朝木曽義仲の間で、頼朝の忠誠心を表すために義仲は息子の義高を頼朝に預ける。しかし、結局頼朝は疑心暗鬼に駆られ、義仲に謀反の疑いありと攻めてしまう。殺した挙句、自分の手元で自分の娘を許嫁としていた預かっている義高に対しても、「あいつは父親の仇を必ず取りに来るから、先に殺しておけ」と主人公の北条小四郎に命ずる。 みんなと仲良くやって、頼朝の妻である北条政子にも可愛がられていた義高はやっぱり頼朝を父の仇と思っている。

そこに、殺された義仲の家臣である巴女子が義高宛に託された父の手紙を渡す。「親戚同士でいがみ合うのはよせ」との事。自分が謀反の疑いで頼朝に殺されておきながら、その相手を憎むなと息子に諭す。頭領である頼朝に楯突くことができない小四郎や政子は、息子義高を殺せと言われるが逃すように手筈を進める。娘も出てきて首に彼方を自ら突きつけながら頼朝に嘆願する。健気な娘の嘆願を聞き入れて命まで取るなと言ってしまうが、時すでに遅し、逃げる途中で頼朝に使える武士に殺される。

最初の命を忠実に実行した藤内光澄にお褒めの言葉を与えるが、次の日には小四郎によって斬首される。 なんとも酷い話である。権力によってどんどん疑心暗鬼になっていく頼朝に対して、変化していく状況を打破できないままその権力に染まっていく状況。

見ている側も、それぞれの立場を理解しながら結果を受け入れるしかない状況に陥っていく。胸くそ悪いドラマと言われるだろう。

しかし、日本人はこんなドラマが大好物。

義理と人情の間に

これはまさに大義名分に対して義理を果たしていく状況と、それぞれの人情との葛藤を描いた日本人が大好きなドラマと仕上がっている。私もこの話を見ながら、今時の表現を取り入れてジジババの気持ちもしっかり鷲掴みにする三谷幸喜の真骨頂を見た感じ。

平家打倒という天皇からの大きな義務を果たすため源頼朝は坂東武士らとともに動き出す。しかし、坂東武士は自分達の地位向上を図るため頼朝に縋りながら、美味しいところもらっていこうと思うが、徐々にその流れが変わっていく。前々回の上総介の件より徐々になんとなくで人情味溢れる頼朝率いる軍勢は、大きな権力に使える義理に押し潰されようとされていく。

今回の義高に関しても、養子として受け入れ可愛がっていた人情がありながら、源同士の争いに巻き込まれ、その義理を果たすために撃ち殺されていく。義理のや義務のために各々の人情が踏み躙られて、それを自制して受け入れていく様は日本人が大好物としている。

これは、自分達が日常で多かれ少なかれ同じような状況に追い込まれているため、ここに表現されているすべての人物の心境を理解できるからだと思う。常に義理や義務のために自己犠牲を強いられている日本人だからこそこういうシチュエーションがたまらなく感じられるんだと思おう。それをうまく表現している三谷幸喜の感覚がなんとも素晴らしい。