Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

教授の想いが詰まった学術書『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』

Pieta

学術書は一般的に専門的な知識が書かれた本になります。私はもっぱら小説などのフィクションものよりもノンフィクションを好んで読みます。どうせ本を読むのならよりストレートに役にたつ本の方が効率的だと思っているからです。そして、私の特徴上あまり行間を読むというのが苦手て文章そのものを受け取ってしまうので、登場人物の気持ちに共感できないという点もあります。なので、学術書の方が知識として受け入れられ、感情を読みとったり、共感する必要がないからです。

今回紹介したい本『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』は、そんな学術書でありながら非常に想いがこもった物になります。

博士の異常な愛情

映画『博士の異常な愛情』は邦題と原題「Dr. Strangelove」と大きく印象が違います。原題は「ストレンジラヴ博士」と人名なのに、邦題は「Strange=異常」と「Love=愛情」を合わせ、一つの文章になっています。

(参照:wikipedia博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」)

しかし、このタイトルがまさにマッドサイエンティストのような印象を与えています。現実の科学でもよくある話です。キューリー夫人などは原子力の謎を解き明かすために命をかけて研究に没頭しました。研究者や教授など、大きな謎を追い求める時、突き動かす信念が必要なのかもしれません。

量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』を書き上げた山岸教授も、また、その信念で今回の本を書かれていることがわかります。

独特の量子力学

この本を読み進めて行くと、普通の量子力学の本の内容と大きく違っていることがわかります。とても宗教的で観点が偏っておりサイエンスとはかけ離れているのではと思う節が多分にあります。しかし、量子力学の世界を知れば知るほど、この世界もありかもと思えてくるのです。

量子力学はまだまだ理解されていない点が多く、さらに物質世界で起きる現象と大きく違っているため、怪しげな自己啓発セミナーとかでとりあげられます。何かよくわからないものを全て「量子力学」とすると、聞いている方もよくわからないから、なんとなくあっているように思ってしまいます。

なので、量子力学は「怪しい」という印象を持っている方も多いと思います。しかし、この本では実際の研究結果などを元にその可能性を探っています。

「この世」と「あの世」

教授が量子力学で明かそうとしているのは、「この世」と「あの世」の関係であります。あの世とはまさに死後の世界に近い世界です。量子力学自体が物質世界にどう影響しているのかは完全にわかっていません。理論上量子の世界は我々の物質をどんどん小さくして行くとたどりつく世界です。つまり、今のこの世界を作っているのは量子の世界だとも言えます。なので、量子の世界で起きている現象が、大きくなった物質世界でも起きてもおかしくないとも言えます。

ただよく言われるのが、質量の違いによってその現象が現れないと言われています。しかし、この質量をもっと大きくしてマクロな宇宙の世界ではブラックフォールなどの現象も起きているのです。中間の質量だからその現象が見られないのかというと、この人間が住んでいる次元が中間だと言えることも不明確です。

なんらかの量子的現象は常に起きているけど、今の人間の感覚では感知できていないというのが素直な意見だと思います。そう考えて行くと、今の次元で起きている一般的な感覚ではない現象というのは、もしかしたら、量子的世界の影響が表に出ているような気がします。

karapaia.com

これからの感覚

この本を読んで感じるのは、これからの感覚です。今まで一般的に思えてきた、ニュートンアインシュタイン古典物理学の現象すでに感覚的には古く、時間は一方方向に進むのではなく、さらに、意識や個人というのは概念でしかないのかも知れないです。

今後、この量子の研究は進みますが、それを大きく飛躍するためには数学的な感覚をより拡張する必要があるのかもと感じます。

「1+1=2」というのはあくまでも今の次元の感覚で、もしかしたらこの観点も変えてより新しい基盤の価値観が必要になってくると思います。つまり、今の数学的基盤では、素数のリズムを解き明かすことは難しいのかも知れません。

教授を突き動かしたもの

最後に、この本を書かれた山岸教授が、なぜ、この様な考えに至ったのかはここでは言えませんが、この学術書を読むと「インターステラー」と非常に近い考えであり、想いであると思います。読み終わったあとに「だからかぁー」と思い、さらに、この考えが量子力学を解き明かすものと良いと思います。