先日、映画「イノセント」を見ました。
奇麗でした。話も面白かったです。そして、私なりの解釈としては、「思考実験」と感じました。そう考えると大半のマンガが「思考実験」となってしまいますが。
何が言いたいかというと、まず、イノセントの世界観は義体という人工の体を持つ人間と、電脳と呼ばれる人間の脳をチップにして電子化する技術が想定されています。そして、ネットワークの中で生まれた意識を本編の中ではゴーストと呼ばれています。このゴーストの考えは脳科学の分野で注目されているクオリアに非常に近い物だと思います。
映画「イノセント」ではこのゴーストの存在意義をシュミレートしているんだと思います。そういった意味で、マンガは思考実験だと思いました。人間の有機的な部分がなくなった時に意識とはどういった位置付けにされるのか、一体、人間とは何なんのかを表現したかったのだと思います。
「銃夢」で表現された電脳
電脳の考えは漫画「銃夢」でも同じ考えが描かれいます。実際の現実世界でも電脳化という技術は進化を遂げていて、目の見えない人に直接レンズからの映像を視覚神経につなげる技術などが存在しています。
人間の効率化への夢を果たすのであれば発生しうる問題だと思います。
環境の刺激に対しての反応のみを行っている機関として脳という臓器があるのであれば、意識の存在定義というのは非常に単純な構造だとも思います。
意識自体がファジーな物であるという考え自体もとても神秘的にとらえ過ぎのような感じします。しかし、映画で描かれている世界観はありえない話に感じました。
なぜなら、登場する人物の家族はどうなんだ?多分どんな時代になってもクリスマスやお正月を家族で過ごす習慣は残ると思います。1月1日に久々に実家に帰り、親父に「俺、義体化しちゃった」って言うのかな?「やっぱり義体化はいいよな」って返答するのかな?
100歩譲って言ったとしましょう。では、電脳だったらどうでしょう?
「いやー実は電脳化の手術をしちゃったんだよね」「じゃーこれで出世も間違いないな」ってなるのか?でもよくよく考えると墨を入れたりするのと変わらなくなるのかもしれません。
映画の中では登場人物の家庭や生活習慣を描いているシーンがあるが結局想像の範疇を超えていないし、理想的、模範的思考実験登場人物だと思います。
たぶん、あの世界になる前に何らかの倫理的処置は図られると思います。
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