Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

精神疾患は全て脳の炎症から起きていると思うー『闇の脳科学』を読んで

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闇の脳科学

『闇の脳科学』というタイトルに惹かれて購入、読了しました。本の内容はロバート・ヒースという1960年代に活躍した脳科学者の生涯を描いた本です。その当時彼は世界的にも有名な脳科学者と家た人でしたが、現代では全く知られない科学者となってしまいました。それがこの本のタイトルになっている闇の部分なんです。 彼がどうしてその当時有名になったかというと、世界で初めて人間の脳に電極を埋め込んだ人物だからです。 ※今回の話は気分を害される恐れがあります。ご注意ください。

衝撃的な精神外科手術

精神外科の歴史で一番有名な手術は「ロボトミー手術(Lobotomy)」ではないでしょうか。日本語では「前頭葉白質切截術」というらしいです。本の中でもロボトミー手術に関して説明がありますが、ロボトミー手術は目頭のあたりからアイスピックの様なものを差し込んで、前頭葉に傷をつける手術になります。この手術を受けた患者は暴力性などがなくなり廃人の状態になるそうです。当時はその状態が「大人しくなった」と勘違いされており、手術自体を多く実施されていた様です。このあたりの話は映画『カッコウの巣の上で』をご覧いただけるとより理解できると思います。

ロボトミーに代表される様に当時は精神を外科的手法から治そうとする動きがありました。ロバート・ヒースもまさにその手法により精神疾患で苦しんでいる人を救おうとした科学者の一人でした。そしてヒースが行った事は脳に電極を差込、そこに電気刺激をする事で活性化させて精神的に正常にしていくという手法でした。 ロボトミー手術でもそうですが、当時は脳自体が全く知られておらず、倫理的な面でも実験自体が否定されることがなかった様です。

活気的な精神治療

ロバート・ヒースの実験はロボトミーに比べ確実に治るとされ患者も多く訪れたそうです。本の中で印象的な実験はB-19というゲイ患者の実験です。冒頭から紹介される実験です。B-19とよばれる男性の脳に電極が埋め込まれ、その線は別室の「ウソ発見期」の様な装置につながっています。その針をみながら埋め込まれた電極に刺激を与えます。 患者は意識のある状態で、娼婦と性行を行います。興奮する様に電極に刺激を与えます。そうすると今まで女性に興奮を憶えなかったのに、この実験により興奮したのです。 他にもうつ状態の患者に電極から刺激を与え、多幸感を与たりします。実験が成功しより機械の精度を上げて持ち運びできる様な物まで作成されます。当時としては非常に素晴らしい事件とされたそうです。

闇に葬られる科学者

精神外科の地位を確率できたヒースでありましたが、『カッコウの巣の上で』の公開以降精神外科への世論の批判を受ける事になります。彼が闇に葬られたのはこれらの批判ではなく、意外なことでした。電極の研究後、彼はタライセンというタンパク質が統合失調を引き起こす事を発表します。しかし、これを実証しようとした実験が自分の部下の詐欺行為より偽りだった事がわかり、ヒースは学会から大きく失望される事になります。

タライセンがもたらす副産物

このタライセンの実験は失敗に終わってしまいますが、このタライセンの着眼点がその後の精神医学に大きく関わっていた事になります。1950年テュレール大学の研究者チームが統合失調症患者の中隔野の活動に混乱がみられる事を見つけます。これが見た目で識別できるのもではなく中隔野の細胞の情報伝達に関わる異常に起因すると思います。タライセンの実験自体は失敗に終わりますが、この後ヒースはこの考えを発展させ、統合失調症が患者自体の免疫抗体の異常によるものだと仮説をたてます。

脳の炎症を抑える

『闇の脳科学』の内容はロバート・ヒースという科学者の物語ですが、この本から思ったのは、人間の精神は非常に陳腐で電気刺激によっていくらでも人格や思想が変わる事がわかります。さらに、その根源に見えて来るのが脳自体の免疫異常であることです。なんとなく私自信のイメージですが、脳の中で同じ刺激によって考えが固定化されます。そこで同じシナプスの流れが出来上がり、それが何度も何度もなじ流れになる事でそこに炎症が生まれます。その炎症によって精神的に異常が起きるのではないかと思いおました。 そして、この炎症を抑えるためにはどうするのかを考えると、いつもの流れを止める事重要だと思いました。それがマインドフルネスや瞑想の様に考えをやめ通常のシナプスの流れを止めて炎症部分の活動を抑えられれば良くなるという事ではないでしょうか。

精神とは一体なに?

デカルト以来なんとなく脳と体は別物とされおり、脳は臓器の中でも別格とされていますが、どちらかというとその考えの方がおかしいと思います。そして、その別格な物への外科手術はイメージとして聖域に対する冒涜の様な行為と思われていますが、それ事非科学的な事だと言えるかもしれないです。 さらに現在では、ヒースが行っている電極の埋め込みを行っている事があります。

wired.jp

著書の中でも書かれていますが、ヨガやマインドフルネスなどは脳を効率的に働かせる活動の一種だと言えます。この考えは手術をするかしないかの違いだけであり、現在は脳を効率的に活性化させる事にオープンな時代になってきたと言えます。 人格は簡単に変えられる物だとすると個人とは一体なんだんでしょう。必死で個性を主張し自己を主張する事は一体なんなのかこの本を読んで思いました。