最近つくづく思うのだが、人はイメージだけでしか動いていないように感じます。つまり、「なんとなく」という考えだけで動いているんだと思います。これは否定や肯定の意見ではありません。つまり「なんとなくで動くのではなく、しっかり物事を考えろ」というようなつまらない一般論ではなく、すべての人がイメージでしか動いてないと感じるのです。
論理的な思考で考えていそうな人というイメージ
論理的な思考とかがビジネスの界隈や若者に必要だといわれていますが、この論理的な思考と言っている人もすべてなんとなくの抽象的なイメージでしか物事捉えられることができないんだと思います。
なぜ、そう思うのかと言いますと、それは、人の脳はコンピュターではないからです。物事を論理立てて構成するところまではできると思いますが、最終的な判断、例えばAとBをジャッジするときなど、結果的に直感に近い物だと思います。
コンピューターは計算を行います。メモリに蓄積されたデータによって、数値的にメリット/デメリットを算出し、確実にメリットの高いものを選定します。コンピューターと人間のチェスや将棋対決に出てくるコンピュターもすべての手の可能性を計算し、次の一手を判断しています。
しかし、人間の脳内ではコンピューターのようにすべての手を記憶機関から意識のところ(無意識も含める)でのやり取りで計算はしていないと思います。一般的な脳の持ち主の方はこのメモリから情報を引っ張ってくる作業や、現状と過去の状況を照らし合わせる作業自体ももっと直感的に作業していると思います。
サバン症候群の方は脳記憶機関とのやり取りが一般の人の脳とは働きが違うようで、コンピューターのようにすべてをうまく引き出すことが可能だと言われています。
イメージで捉えているということ
自分なりに思うイメージで捉えるというのは、たぶん、多くの人に当てはまると思いますが、「なんとなくこのことは良さそう」とか「やばそう(悪い意味)」とか感じる感覚です。
Design rule index―デザイン、新・100の法則で紹介されている「美的ユーザーインターファイス」という法則があります。これは美しいものはなんとなく使いやすそうに見えるという法則です。まさに、この現象が日常的に発生しています。特に日本の文化ではそれが顕著に表れています。
見た目が美しいや綺麗、かわいい、かっこいいだけで本質を見ずに判断しています。
Design rule index―デザイン、新・100の法則
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非常に身近なところでは、居酒屋などの店内を見てみるとよくわかります。新宿の歌舞伎町や西新宿あたりの雑居ビルに入っている居酒屋などはまさにそうです。
まず、ある程度高いビルの 中層くらいに位置して、なんとなく見晴らしがよさそうと判断させてしまいます。駅に近かったりすると、駅の高さはそれほど高くないのである程度先まで見晴らしが開ける場合があります。それに、最上階などではないので、家賃も手頃です。さらに、もともと雑居ビルなので、面積自体も非常に狭いです。そのため、隣との境をなんとなく麻っぽい布やスダレで隣との席との境を作ります。これで、壁で区切るよりも簡単に個室ができます。さらに、天井などは黒塗りにしてパイプなどを露出しておきます。ペンキを塗るだけで工事費もかからないし、むき出しの感じが雑多な美味しい店という雰囲気を演出できます。
たまに、受付から客のフロアーまでの細い道をなんとなく綺麗に見せるために、下をガラス張りにするケースがあります。導入が綺麗だと、それ以降のフロアもきれいなものだろうという印象を生き告げることができます。また、店内ではいくらで雇われているかわからない若者と外国人の従業員がやたらと活気がいいです。
席についたら店側の勝ちです。注文が遅くても、料理がまずくても知ったもんではありません。この雰囲気がよさそう=料理が美味しそうというイメージをサイトで演出できれば十分なのです。
イメージを植え付けることが重要
人を動かすのに非常に重要になっていくるのが、このイメージです。頭がよさそうに思われるように自分の見た目や振る舞い、喋り方を気にすることは非常に重要なことだと思います。それにより、他人のなかでのイメージが大きく変わることになります。
しかし、見た目がよくても結果的に話してなにも生まれないのではこのイメージはまた書き換わってしまいます。つまり、イメージとは見た目のことだけではなく、その本質自体もイメージを持つ必要があるんだと思います。
昔、Webディレクターをしていた時期に思っていたのが、細かいスケジュールやサイト構造などを資料で説明するのですが、お互い理解できず、構築段階で何をすれば良いのか認識の齟齬が発生してしまい、プロジェクトがうまくいかないことがあります。
これを打破するために私はイメージを共有することにしました。先述しましたが、人は細かいスケジュールや構造を見ても数センチも理解することはできません。なので、大きなイメージを伝えます。スケジュールを説明する場合は、今月は要件定義をする、来月はデザインを検討する、というようにその月ごとの大きなイメージを植え付ければそれで十分です。
メディアが植えつけるイメージに惑わされるな
イメージを最大限利用しているのが政治だと思います。前の記事でも書きましたが政治は結局権力奪取の争いです。
noriyasu-katano.hatenablog.com
そのため、イメージが非常に重要です。自民党などは広告代理店と昔から付き合い、イメージを作り上げているようです。また、安部政権でも書くテレビ局の取締役などと会食をするなど、イメージと政治は切り離せません。
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さらに、メディアもこのイメージをうまく操作しています。日本の民放はすべてそれぞれの主義主張で番組を作成しています。報道にも偏りがみられます。なんとなく経済を動かしているのもこれらのメディアのせいだとも言えます。
「なんとなく安部が悪い」「なんとなく不景気」だけど、実際の数値をみんな調べたでしょうか?報道番組でもどこから持ってきたのかわからない都合のいいグラフを見せて、なんとなく悪い印象やなんとなく良い印象を作っています。
まとめ
重要なことはこのイメージで判断していることを十分に理解し、ある程度の信用できるデータを用いて最終的な自分なりのイメージを作ることが重要なんだと思います。