2015年6月6日(土)に表参道で開催されたWIRED主催のデザインカンファレンスに参加してきました。今後のデザイン言語に関して行われたました。WIREDの行うカンファレンスなどはどれも面白い視点でテーマを捉え、ゲストも幅広くとても興味深い内容が多いです。
先日行った『量子マーケティング』のセミナーもやはり興味深い内容でした。
noriyasu-katano.hatenablog.com
今回参加したWXDカンファレンスからいくつか印象に残ったセッションを書き留めておきたいと思います。
弱いロボットの真実
一番印象に残ったのは岡田美智男さんの『弱いロボット』のお話です。弱いロボットとは、とても細かく、ロボット化しなくてもよいシンプルな機能しか持たないロボットです。しかもこのロボットにはシンプルな機能に加えとても弱々しく見せる挙動が加わっています。
例えば、ゴミ箱ロボットはシンプルなゴミ箱の機能しかありません。ゴミを分別することもゴミを拾うこともできません。ゴミを見つけて、ゴミ箱の近くに弱々しくちかより、近くにいる人を見つめます。その事により、近くにいる人はゴミを拾い、ゴミ箱ロボットに入れます。
このようにゴミを拾う事も分別する事もできないロボットが他力本願でゴミを拾わせます。つまり、弱い物が本来の本質を引き出しているような感じです。
この話を聞いている時に思ったのが、強い立場にいる人間のやるべき行動を気付かさせられました。日本の文化や教育の中では、個人を尊重するあまり、個人の強さを非常に求められます。「自分を持っている人間」や「男らしさ」、「女らしさ」みたいな固定観念によってどうしても強い人間像を作ってしまいます。
しかし、その強さを強調すればするほど、他人との関係性の中では孤立していくような感じを受けました。弱いロボットを見る事で、本来の人間の関係や環境との関わりというのがよく理解できました。
ドナルドのデザインアイディア
次に印象に残っているのは、Dominic Wilcox(ドミニク・ウィロックス)のセッションです。講演の内容は彼のアイディアを紹介する形でした。
彼のアイディアは日常を切り取り、常識に囚われない彼の発想とてもユーモアに富んでいる物でした。彼の講演を聞いて思ったのは「これでいいんだ」ということです。どうしても「いい物を作ろう」「十分に役に立つ物を作ろう」「美しい物を作ろう」としてなかなか自分のアイディアを形にすることができません。しかし、ドミニク氏は簡単にその壁を越えてしまっているような気がしました。
たぶん、「それが役にたつだろう」で始まり、短時間で簡単に作ることで役に立たなかったら次にすればよいという発想なんだと思います。彼のこの簡単に飛び越えるアイディアを子供たちに伝えたいと、彼の本を購入して次の日の朝に渡しました。
7歳の息子と4歳の娘が楽しそうに彼のアイディアを見ていました。
こんな感じです。
そして、彼の講演を聞いて思ったのが、佐藤雅彦氏とよく似てると思いました。日常のちょっとしたことにフォーカスをあて、それを面白く工夫してより理解できる形に変えていくような気がします。