量子をマーケティングに使う、あまりピンとこない話ですが、そんな「量子マーケティング」のセミナーがWIERD主催で行われチームラボの展覧会が行われている日本科学未来館に行ってきました。
基調講演を行ったのはクリエイティブ・ブレインズ(http://www.scanamind.jp/)代表の鈴木一彦さんが登壇されました。
そもそも量子マーケティングって?
量子マーケティングというのは量子数理を使って、人の無意識に存在する概念を可視化することで、次の戦略を立てるような感じでした。量子数理とは量子力学から物理の部分を取り除いたようなものらしいです。つまり、量子力学で使用する数理の部分を利用するイメージです。クリエイティブ・マインドでは、この量子演算を行えるツール『スキャナマインド(http://www.scanamind.jp/execute.html)』を開発し、マーケティング調査に使用しています。
概念を可視化する方法は関連するキーワードを10個ほど自分で洗い出し、それぞれのキーワードの関連性の強弱をつけていきます。そして、各キーワードの位置関係を見ることで、そのテーマに対してユーザーが持っている概念が見えてくるという感じです。個人だけでなく、複数人の合計値も可視化することができます。
ここまで聞くと、それほど量子と関係ないじゃんって思ってしまうのですが、このキーワードの相関関係をマッピングするのがとても重要で、この位置の割り出しを自動的に行なうことになります。それぞれのキーワードの相関を出すためにはそれぞれが関連していなくてはいけなく、鈴木氏の言葉を借りると「答えで答えを出す」必要があるようです。
つまり、キーワードAとキーワードBの位置を割り出すためには、Aの位置が決まらなくてはBの位置がでないことになります。Aの位置は無限に存在するので、通常の演算では算出できないのがミソです。すべての位置が定まらなければ、すべての位置が決まらないことになります。そのために、実際にどうするかというと、すべてのパターンを計算します。そして、すべての位置がうまく当てはまる固有状態(ψ)を求めることができます。この固有状態を導くのが量子数理になるようです。
まだまだ、この結果をどう扱ってよいのかは試行錯誤が必要ですが、今まで「ブランド」という概念がこの方法で何となく可視化できるような気がしました。
レベル1の知的生命体と成りうる
この講演を聴きながら思ったのが、東浩紀氏の「一般意思2.0」です。
この本の中ではtwitterによる市民の一般意思を解析して、政治に取り入れていこうという話が載っていたと思います。まさに、このスキャナマインドが進むと個人の概念と概念を比較することができ、明確にお互いの考えの違いを見ることができると思います。
例えば、政治家数百人が持っている概念と消費者が持っている概念を比較することでどれだけ一般とかけ離れているのかも明確に見えてきます。
さらに、人が争いを起こすのはお互いの理解に齟齬が発生した時に、「怒り」の感情が生まれてくると思います。何かを伝えようとしている時に、聞いている側の反応が自分の期待と違う場合、そして、その状況がどんな方法を使っても治らない時に、その人に対して怒りを感じることがあると思います。
このようにお互いの理解度、その物に対しての概念が共有化されないと分かり合えない状況になると思います。この理解度(概念)を見えるかして、お互いがお互いのその物にたいする概念が見えることで、理解が生まれるんだと思います。
このツールは言語に縛られません。なぜなら概念を見えるかしているだけなので、概念がそれぞれコドバに紐付いているのでツールの言語は関係なくなります。つまり、全ての人類の概念の共有化も可能だと言えます。
ミチオカクという理論物理学者が知的生命体には3つのレベルがあるといいます。レベル3は宇宙を行き来できるようになって、レベル2では銀河を行き来することができる、レベル1では惑星間を行き来でき、その惑星自体が1つの集団となっているようです。
これからの科学
鈴木氏が講演ないでこれからの科学について方っていました。人類が文明を持ってから初めに科学の役割を持っていたのは宗教・哲学だと言います。そして、その次にニュートンやガリレオ・ガリレイが今の基盤になる科学を作り出しました。そして、その時代その時代で常に新しい物は非現実な存在だと言われています。現時点でも量子力学の世界は研究が進んでいますが、一部の解釈などは非現実的な物だとも言われています。
量子の世界はまだまだ未知な部分が多く、現実世界でもまだ活用ができていないところがあります。しかし、今回の量子マーケティングの様に現実レベルでも理論がが活用されることは今後多くなってくると思います。
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