Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

自殺者が増えるのは当然〜エドワード・T・ホールの『かくれた次元』を読んで

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Day 25

まだ読んでいる途中だが、色々と考えさせられる本なので書き留めておきたい。

この本を読むきっかけは、養老孟司の「遺言」の中で紹介されていたので、早速amazonでポチりした。 

遺言。 (新潮新書)

遺言。 (新潮新書)

 

 装丁からも伺えるように、だいぶ古い本である。1970年に初版が発行されている。しかし、この本を読むとすでに現代が抱えている病魔の原因が書かれていることに気づかされる。

 動物にみられる距離

まだ途中の段階で感想を述べるのも変な話だが、この本の内容はタイトルの通り、「かくれた次元」である。何がかくれているかといと、人間が本来持っている中で表面に感じ取りにくい次元が存在しているというようなことだと思う。

第二章と第三章で動物が持っている動物同士の距離感や混み合いによって生じる現象を考察している。これによって人間もその文化圏において持っている価値観が大きく変わるということらしい。

冒頭からこの2章だけ読んでも現代社会が持っている謎がよく理解できる。

第二章では動物のそれぞれが持っている距離感を実際の実験などから話している。そして第三章でそれらの距離感がもし崩された時の動物に現れる症状を挙げている。現代で言われているパーソナルスペースは動物にも存在しており、例えばトカゲなどを捕獲しようとするときに、ある一定の距離まではトカゲは動きを止めているが、こちらがその一定の距離を越えると一気に走り出すことがある。これがそのトカゲが持っている距離なのだという。

集団が引き起こすストレス

この距離はどの動物にもあり、本の中では1955年に着手されたニホンジカの研究を挙げている。1955年動物行動学者のジョン・クリスチアンはメリーランド州ケンブリッジにあるジェームズ島に放たれたニホンジカの副腎をはじめとする器官の組織を詳しく調べた。それから毎年5頭ずつ調べはじめた。

1916年に島に放たれた鹿は、280エーカー(およそ東京ドーム24個分)の島に、研究かいし時には300頭近く増えていた。

研究開始から3年たった1958年に、2年間かけて鹿が大量に死滅した。そして、80頭まで減ると安定しはじめた。この間、12頭の鹿の組織を採取し調べた。

大量死の前とその期間中、そして、大量死後で大きく違っていたのは体の大きさで、特に副腎の大きさが大量死している期間の鹿はその前の鹿よりも81%低下していた。そして、逆に大量死後採取された鹿の副腎は、大量死前の鹿よりも大きく肥大化していたという。

副腎は成長、生殖、体の防衛力に重要な役割をはたしていて、ストレスに反応して変化する器官らしく、大量死後の鹿は大量死の影響により副腎を肥大化させて個体を防衛したと考えられる。つまり、大量死の要因がストレスが大きく加担していることがわかる。

集団になると生物は個体数を調整する

この本では、そのかにカニの話があったりして、集団で混み入った状態になるとそれぞれの個体がお互いに傷つけ合いその個体の数を調整しようとしていることがわかる。
つまり、これは現代が抱えている自殺問題などにも関連するのではないかと思っている。特に日本など面積が狭く、さらに都市に集中した状態だと、大きなストレスがブラック企業に勤めていなくてもかかるのは当然である。そこで、自殺者が多くなったりするのは当然の流れはないだろうか。

人が個人であるというのはここ数年の概念でしかなく、本来、人も生物だから集団になればなるほど、全体の個体数を調整しようとする傾向は当然だと思う。なので、この問題がインターネットや日本文化、さらに社会現象としたソフト的な要因ではなく、単純に生物としての調整本能なのではないかと思う。

ではそれをどう解決すべきかというと、密集度を緩和すれば良い話ではないだろうか。多分古来から人はある一定の密集になってきたら移動してきたのではないかと思う。アフリカからヨーロッパ、中東、インド、東南アジア、中国、日本というように、人間はその地で密集度が高まってきたら動いていた。それが現代だとなかなか難しくなってきたような気がする。

多分、大きな問題はやはり都市部をより大きく拡張すべきなのかもしれない。もしくはいち早く別惑星への移住を考える必要があるのかもしれない。

かくれた次元

かくれた次元