ここ数年量子力学と意識や精神、心霊に関する本を読んで来たが、この本もまた非常に興味深い本だ。
著者のブライアン・ジョセフソン氏は1973年にノーベル物理学賞を受賞している物理学者である。超電導同士のトンネル効果(ジョセフソン効果)の計算式を導き出した方らしい。トンネル効果自体がよく理解できていませんが、そんな先生が「心霊」を真面目に暑かった著書である。
冒頭には、この本を出版するに当たっての経緯が書いてある。個人の ブログで自分の考えを発表していたのを茂木健一郎氏が観て本を出すように進められたのがきっかけらしい。
現代の科学的な観点を変えないと見えてこないののがある
ノーベル科学者が真面目に心霊現象を捉えている話だけれども、俗にいう心霊やオカルトの話を研修して発表しているわけではない。本をざっくり私がわかる範囲で解釈すると、現代の科学的観点を変えないと量子力学の世界は計り知れないのではないかという点だと思う。
では、現代の科学的観点とは何なのかというと、それは誰がどんな状況においてもある一定の条件のものとであれば同じ結果が出ることが科学として認められている観点である。つまり、心霊やオカルトの類はその科学的観点から言って大きくかけ離れていることが言えるため、信用が掛けてしまう。
しかし、このことはボーアが量子力学を提唱した時点で大きく崩れていて、それにしがみついている時点で科学の発展自体を逃しているのではと思う。
心霊現象やオカルトを真面目に語ると相手にされない
心霊やオカルトの現象を真面目に語ろうとすると相手にされないことが多々ある。毎年暮れになると放送される『たけしの超常現象』の番組があるが、あそこに出ている心霊現象の研修者たちも大真面目に心霊の類を研修している。
中にはインチキな輩が多く、その分野の他の研究者に自分達が首をしめてしまっている点があるが、確かに、量子力学の世界では、それまでの科学では説明できないことが常に起きている。
本の中では現象自体が希少なものにちゃんと目を向けるべきで、研究の対象にすることが重要だと述べている。著者がこの本を発表すること自体が非常にリスクがあり、ある意味、「ノーベル科学者がこんな本を出すのか?!」とのけものされてしまうこともあるという。先も述べたように愉快目的で適当な解釈をする輩のために信憑性を汚されている部分もあると思う。
しかし、世の中には科学では解き明かせないことの方が多いことをもっと強く訴えるべきである。
イコールで結ばれてしまう世界
この本の後に養老孟司の「遺言」を読んだ。久しぶりの書き下ろしらしい。養老氏が最近死に際に述べていることは人間の特徴である「=(イコール)」の考え方である。
これを理解すると確かに、自分が生活している全てのことはこの価値観で作られていることがよく見えてくる。
TwitterをはじめとするSNSやTVでも、何でも人間はイコールで結びつけてしまっている。これは一見効率的で、物事を進める上で非常に有効な手段なのかもしれないが、しかし、とても危険な価値観であることだと理解できる。
例えば、ワイドショーなどはこれが顕著に現れる。若い夫婦による幼児虐待の事件が、短い期間で2・3回発生した場合、多くの人が「若い親は子供を虐待する親が多い」というように「若い親=虐待する」とイコールで結びつけてしまう。
これはワイドショーに限ったことではなく、会社とか生活の中でも同じ事が発生し、それがだんだんと支配しているような気がしている。
っとここで自分自身もブログを書いていて、全ての現象をイコールで結んでいるパラドックスに陥っていることに気づいた。
1+1=2である世界からの脱却
養老孟司氏の「遺言」曰く、動物はイコールで結べないと述べている。1+1=2で考えられるのは人間だけであると。どういうことかというと、バナナが2つあったとしても、それぞれのバナナは、それぞれ別なものなので、2つである事、つまり同じものが2つあると理解する事ができない。
違うバナナがそれぞれ1つづつあるため、バナナという大きなくくりでまとめて2つと理解する事ができない。
もし、人間の価値観の中に1+1=2であるという事が前提で植えつけられているのであれば、そこから脱却して、マクロとミクロが融合した価値観で量子を考えるのが良いのかもしれない。
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