Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

シンボリズムとコネクショリズム〜第四回AI美芸研に参加して

Cryptogram

前回から引き続き「第4回AI美芸研」に参加したことを書きます。

noriyasu-katano.hatenablog.com

 今回も石黒先生の話で気になった点を自分なりに解釈して見たいと思います。

石黒先生が最後の検討会でおっしゃっていた「インボリズム」と「コネクショリズム」に関してです。先生はこの二つの考えが教科書などでも並列に語られる事に違和感を感じていたようです。

 この会話を中ザワ先生とお話されていたのですが、これがさっぱりわからないんです。

コネクショリズム

そもそもコネクショリズムとは何でしょう。色々と調べると、今流行りのディープラーニングなどは、ニューラルネットワーク上のアルゴリズムを「コネクショリズム」と呼ぶそうです。ニューラル(神経素子)をネットワークで結ぶような感じらしいです。

コネクショリズムはネットワークが入力したものに対して何かを認識します。ネットワークが認識を行うため、その認識を明確に表す事が難しいと言われているそうです。

シンボリズム

一方、シンボリズムは記号によって知能を表現しようとする方向です。そのため知能というのも明確に表示する事ができるのです。この点が大きく違っているようそになります。コネクショリズムでは、ネットワークがもの事に対して反応を繰り返すだけなので、ある明確な回答に対する答えを出すまでに時間を有するのかもしれません。

印象的には偶発的な印象がります。中ザワヒデキ先生は今回のAI美芸研の冒頭でこのシンボリズムとコネクショリズムを彫塑を題材に説明しました。

彫塑とは、彫ると塑(そ:土をこねて物の形を作る)から来ています。つまり、ミケランジェロは石を掘って彫刻を作成していました。逆にロダンなどは粘土をこねて作り上げました。石から彫って作るのはシンボリズムの考えに近いと言われています。

確かに、彫刻家などは石や木などにあるイメージを彫り出しているという作家さんもおられます。つまり、すでにあるシンボルを作るイメージなんだと思います。これに対して、ロダンなどは確かに粘土をこねながら土と対話して作り上げるイメージがあります。

この2つの問題

多分、石黒先生としては、この2つの考えを並列で考える事が問題なんだと思います。どちらも知能を作り上げる方法であるけれども、そのアプローチは全く違っており、どちらが優位というような二者択一の方法ではないという点なんだと思います。

つまり、どちらの方法が知能であるかの問題ではなく、その両方かもしれないし、その両方とも違うのかもしれません。

これは、多分アンドロイドという人でも機械でもないものを作り続けた石黒先生だから投げかけられる疑問なのかもしれません。先生はニューラルネットワークを使ったアンドロイドを作成したそうです。こちらは周囲の反応に対して反応するアンドロイドなだそうです。このアンドロイドが人間のように振るっているように見えるらしいですが、全くそうではなく、単純な反応でしかないため、人間の動きとは全く違うそうです。

byronjapan.com

つまり、人はなんらかの意思を持って行動します。もちろん環境に対する反射的な要素はありるけれども、そこにはそれぞれの意思がはたらいた結果の動きと言えます。

シンボルグランディング問題(記号接地問題)

ではやはり、シンボリズムが良いのかというとそうでもないようです。シンボリズムにはシンボルグランディング問題(記号接地問題)というのがあるそうで、これは何かと言うと、記号が何を意味するのかをマッピングする点です。誰かが世界の全てに対しての記号を対応させる必要があるからです。

現在では、結果的にプログラマーがそのシンボルをマッピングしているに過ぎないのが実情だと言えます。

結果的に人の手が介入している点ではディープワーニングも同じ状態だと言えます。

googleの「AlphaGo」も囲碁で勝つという目的に対して回答したに過ぎず、結局その目的自体を作る事はないのです。

結局「人工の知能」は程遠い

こう考えていくと、結局、攻殻機動隊やハリウッド映画で描かれているAIの世界は程遠い事がよくわかりました。

今の時代が地球生命の前線なんだとしたら、やはり、ここまで「知能」というものを作り上げた自然というのがすごいんだなと実感します。「知能」という概念自体も人間的な考えなのかもしれません。 

西洋画人列伝

西洋画人列伝