Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

『この世界の片隅に』と『君の名は』

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やっと見ることができました。子供たちと行こうと思ったのですが、戦争映画だから嫌だと断られてしまい、会社を休んで見に行きました。

年の終わりに『君の名は』と『この世界の片隅に』で、立て続けに良い日本アニメが放映され、日本のアニメは本当に素晴らしいと実感しました。『シン・ゴジラ』を見たら、これはすごいなと感銘を受け、やっぱり庵野は変態だと感じていました。しかし、『君の名は』が上映され、噂が広まり、どうせセンチメンタルなアニメだろうと思っていたのですが、確かにシン・ゴジラを抜く良い作品でした。

 『この世の片隅に』は、そんな『君の名は』を抜くと噂され、ぜひ見たいと思っていました。

当事者で語られる『君の名は』

この世界の片隅に』と『君の名は』の大きな違いは、見ている観客の置き方のような気がします。『君の名は』は主人公の「みつは」と「たき」の2人を取り巻く世界で展開されています。大きなタイムトラベル的時間軸はありますが、それとは別に2人の存在がわかってからの時間軸は、およそ1ヶ月程度くらいだと思います。

つまり、時間を超えた大きなスケールの話なのですが、距離的には狭い空間で話が展開していることになります。これはこれで、非常に内容を濃く描くことができ、心地よいリズムを作ることができる様な気がします。

宮台真司氏が新海氏の映画を追っかけているそうで、今回の映画に関して、理想的な恋愛の形を作っていて、理想は常に理想でしかなく、それが現実にならないことを今まで表現していたが、今回はそれを現実で叶えたことでヒットが生まれたというようなことを哲学用語を交えながら解説していました。

また、『君の名は』で素晴らしいのは演出の部分ではないだろうかと感じます。まるで、ミュージッククリップの様な曲の入り方や使い方。さらに時間が交差するシーンやシナリオなどは今までのアニメにはない演出があった気がします。『エヴァンゲリオン』とかを最初に見たときも斬新な演出でしたが、その斬新さが新しく感じました。

俯瞰して淡々と語られる『この世界の片隅に

一方『この世界の片隅に』はより俯瞰して語られています。凝った演出はなく淡々と物語を語ることでより真実に迫っている感じがしました。その事がアニメの世界観に引き込ませていた気がします。

冒頭の30分くらいは主人公すずの成長と合わせどんどん月日が流れます。多分、個人の記憶とはこの様に流れていくんだと思います。印象に残っているシーンが断片的に記憶に残る、その事が未来を作っている感じです。

広島市から結婚で呉市に嫁ぎます。ここから時間がゆっくり流れます。全編静かな映画で、BGMの演出も少なく、ほぼ生活音で構成されている感じでした。観客はこの世界を俯瞰して見渡している感じになります。

戦争が本格的に激しくなってくる頃から、前半のシーンとリンクしてきます。自分が落ち込んでいるときやあまり上手くいかない時とかは、過去のことがフツフツと浮かんでくる感じと似てる演出です。

その感覚が愛おしくなり、恥ずかしながら、戦争が終わった直後のシーンでは、ボロボロと泣き始めていました。嗚咽するのを必死でこらえるくらい泣きました。

キャラクターと衣装

この作品の評価を見ると、当時の様子がそのまま表現されていると言われています。風景や言葉遣い、風習などその当時を知らなくても、こんな感じだったんだろうと実感できるくらいでした。

特に細かく演出しているのが衣装です。衣装をちゃんと丁寧に描いています。例えば、すずが火事を消した後、服がボロボロになるのですが、次に気づくと、その服がちゃんと別の布を使って綺麗に直されています。スカートの裾が黒く焦げていたのを誰かが直したんだという事がよくわかりました。

さらに、キャラクターも『君の名は』とは大きく違ってどこか日本昔ばなしに出てくる様な可愛らしいキャラクターにしてあります。リアルな風景との差が大きく出ているのですが、このキャラクターが非常にいろいろな表情を見せます。

とても色気があるときや、とても愛らしい時など、全くリアルとは程遠いのですが、それがなんともよく表せています。

人が増える

戦争が始まり、一時期は家族が少し増えるんですが、戦争が激しくなると、だんだんと、家族から人がいなくなっていきます。しかし、戦争の終盤になり呉市が空襲を受ける様になって行くのとは逆に家に人が増えていきます。この人いつの間にか家族に加わる様になってるとか思ったりします。多分、あの当時はみんなが寄せ集まって大きな家族みたいな心境だったんだと思います。

細かいストーリー

この映画を見て本当に心温まるのは、前に書いたスカートの様に細かいところにストーリーをもたせているのがとても良いです。これは、多分監督が絵を描きながらいろんなことを想像して書いているんだろうなと思いました。映画に出てくる全ての人にストーリーをもたせているんだろうと感じました。

映画が終わって、スタッフロールが流れ、クラウドファンディングで支援してくれた方々の名前がでるところでは、同時に別のキャラクターの裏シーンが流れています。ここも是非注意して見てほしいです。

つまり、この映画は一見狭い世界を描いている様に見えるのですが、実は観客はこの世界を大きく俯瞰して全体を見ている感じになります。その点が『君の名は』と違いを感じました。

子供への説明

この映画には子供を誘って行こうと考えていました。ただ、その時この映画をどう説明していいかわかりませんでした。この映画は戦争の映画です。戦争時代に健気に生きていた女性の話ですが、「あんな戦争でも懸命にその日々を丹念に明るく暮らしていた」と説明すると、それは戦争の時でも明るく強く暮らせると間違って伝わってしまうのです。

実際、映画を見ると懸命に生きてというより、時間が流れていて淡々と生かされて行く様子を描いている感じです。それは戦争が正しいとか間違っているとか、悲しいとか怖いとかではなく、多分、その当時の人たちはただただ今と同じ様に時間が流れていき、今と同じ様に今を生きていたと感じます。ただ、やはり犠牲者が近くで出始めると戦争への憎さが募りました。観終えて思うと、主人公すずが「ぼーっと」生きていた事がただただ生きて行くことをより純粋に表現しているんだと思いました。

発達障害の方は是非観てください。

私は発達障害と診断されたので、よくわかるのですが、主人公すずは発達障害です。生活に支障なく過ごせているので軽度だと思いますが、彼女の仕草や考え方を見ると同じニオイを感じます。なので、余計に感情移入ができたんだと思います。

昔から、人と違って周りが気づかないところに気がついてしまい、周りにとって肝心なところが抜け落ちてしまいます。ただ、周りの事がよく気がつくので、周りに対して非常に敏感な面があります。玉音放送を聞いて彼女だけが大きく憤ります。それは社会の大きな変化と矛盾をなんとなく感じる事ができたんでしょう。

憲兵から注意される時も周りは笑って笑顔になっているけど、自分の不甲斐なさを感じているのもよく理解できました。とても彼女には共感を感じ、さらに勇気をもらいました。多分、監督本人にもそんな一面があるのかもしれません。 

 

 

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