Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

すべては量子で動いている—物理的実存論と量子的実存論につて

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photo by Martin Cathrae

WIARDのvol.14を読みました。「死の未来」と出して「死」というものを現代科学からの視点などいろいろな視点で特集しています。


特集は「死の未来:Future of Death」。雑誌『WIRED』VOL.14、11/25(火)発売!

その中で「ハメロフ博士の世界一ぶっとんだ死の話」は意識と量子についての話をしています。かなり乱暴に説明すると「意識」を量子力学で説明するような内容です。

その中ではじめに出てくるのが理論物理学者であるロジャー・ペンローズという方が1989年に著書『皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則』で膨大な数学物理的知識のもとにひとつの疑問をなぎかけています。

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則

 

 物質的世界が存在し、その物質的世界は古典力学で説明できています。しかし、意識は物質的世界の古典力学では説明仕切れない現実があります。であれば、量子的な説明が必要ではないかと問いかけています。

量子的視点からの意識

では、量子的な視点からの意識をどう考えれば良いのでしょう。記事の中では、ハメロフ博士がペンローズに送った手紙から書かれています。ペンローズの著書『皇帝の新しい心』でニューロンに量子的メカニズムがあると書かれていたそうです。しかし、博士は「ニューロンでは大きすぎる。ニューロンの中にある微小管が生体量子コンピューターでは」と手紙を書いたようです。

ハメロフは麻酔がどのように意識だけを消失させるか明らかにする微小管からヒントを得ています。麻酔はニューロン樹状突起の微小管にあるチューブリンというピーナッツ状のタンパク質で、この隙間に麻酔薬の分子が入り込み意識に必要だとされている双極子的な振動を分散させて意識をなくしているとされているようです。

ゾウリムシなどはニューロンシナプスもないが天敵をさけたり餌を探したりできるのはこの微小管が繊毛にあるからだそうです。

攻殻機動隊の考えは成立しない

意識が微小管によって選択されているのならば、攻殻機動隊に出てくる「ゴースト」の存在は否定されるのではないでしょうか。つまり、攻殻機動隊の「ゴースト」はデジタルで発生されており、量子のような不安定なシステムで成り立っていない、なので、ゴースト(意識)が発生することはあり得ないと思います。デジタルの0と1で構成されるネットワークでは、複数の可能性から選び出され構成される意識という存在は形成されないのではと思います。つまり、デジタル上での予測可能な状態では意識としての存在は作りだせないと思います。もし、存在していたとしたら、観測者である側が作り出していたと思います。

量子ですべてを考える

もう一つ思う白い考えを見つけました。カラパイラで取り上げられた記事です。 


この宇宙が仮想現実である10の根拠 : カラパイア

難しい話ですが、とても分かりやすく書かれていました。私なりに解釈すると、今までの考え方がすべて物理的なところから発生しています。つまり、「物ありき」な考えです。しかし、物質的な考えを突き詰めていくと、色々な法則で矛盾が発生してしまいます。
例えば、物質ありきの考えでいくと、この宇宙に始まりがあり、その始まりは「無」から生まれたことになります。しかし、そもそも「無」から「有」が生まれること自体が矛盾しています。

この世界が量子システムのネットワークの上に存在していたとしたら、始まり自体も量子のランダムな状況から生まれたことになります。(結果的に、その量子システム自体がどのように生まれたのかは分からないのですが)つまり、この世の中すべてが量子システムとネットワークの上に存在していて、物質(この世の中)はその副産物でしかなくなります。

宇宙とつなぐ意識

この二つの話は自分のなかでつながりました。もし、この世界が量子で出来ていて、意識自体が量子だとしたら、すべてがつながるような気がします。太陽など重たい惑星のそばを通ると光は曲がります。もし、意識も量子的な何かだとすると、体重が重たい人の近くだと、少し意識も変わるかもしれません。

夜空の星を眺めるより、量子を考える

父親が昔、私が悩んでいるときに話したのは、満点の夜空をみると自分の悩みなんて小さい物だと言ったことがあります。しかし、私自身そのことには全くピンと来ませんでした。もちろん、話している内容は分かります。大きな宇宙を見ると自分の小ささを感じる事で悩みを消そうとしている事だと思います。

しかし、生まれた時から理科の教科書には宇宙の写真が掲載されていて、テレビを見ても宇宙の特集などされています。父世代の宇宙に対する感覚よりも、私たち世代の宇宙に対する感覚はとても近い物だと思います。宇宙がもっと身近な存在だと思います。そのため、父の話していた内容は心情的に共感出来ないものでした。

最近、量子の話をいろいろと読んでその事を想像すると自分の悩みの小ささを感じます。あの時父が言っていた感覚と同じ感覚を知る事が出来たように思います。

隠れていた宇宙 上 (ハヤカワ文庫 NF)

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