Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

なぜ日本が太平洋戦争に向かったのかー『私が伝えたい日本現代史1934-1960』

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photo by huangb

 たぶん、渋谷は今日も元気だろう。「私が伝えたい日本現代史1934-1960」はそんな日本がおかしかった時代を田原総一郎が経験と共に語っている本です。

話は1934年の田原氏誕生以前から始まります。満州事変226事件がはじめの章で紹介されています。小学校高学年の社会で習った記憶があります。誤解される覚悟で書きますが、この事件の背景を本で読むとつくづく旧日本陸軍のアホさがよく分かります。陸軍悪玉論も半分納得がいきます。

 一人のエゴで始まる満州事変と悲しい陸軍青年将校たち

満州事変はとても簡単に話を解釈すると中国とどうしても戦争がしたかった石原莞爾が日本の満州鉄道を爆破して中国のせいにして争いをわざと起こさせます。226事件北一輝というファシストの思想のもと青年将校たちがその当時の閣僚を次々に殺害していきます。陸軍首脳部から告示が届き、それを激励だと受け取ってよけい力が入ってしまったけど、後に逆賊とされて処刑されてしまった。

満州事変では当時劣等とされてきた日本の力をもっと見せつける為に行っていて、20代そこそこの青年将校たちは日本の今後の事を憂いて事件を起こした。この本を読むと非常に当時の事がよくわかります。他の歴史書などを読むよりもよくその当時の日本の情勢がよくわかりました。

読み進めていくと太平洋戦争に向かっていく日本の状況が浮き彫りになっていきます。大国との戦争を避けたかった天皇の心情や陸軍のトップたち、そして、当時の首相の心情などがよくわかります。読めば読むほど「なんで日本は戦争をしなければいけなかったのか」という疑問がふつふつと浮かんできます。

誰もしたくなかった太平洋戦争

NHKドキュメンタリーで「山本五十六」の話を見ました。山本五十六が親友の堀悌吉に当てた手紙をもとに当時の状況をふりかえっています。アメリカ留学などアメリカの情勢に詳しかった連合艦隊指令長官の五十六もアメリカとの戦争を避けたいと考えていました。このドキュメントを見ると当時の陸軍と海軍と確執がよくわかり、戦争をやりたがっていたのが陸軍で、避けようとしていたのが海軍という印象がどうしてもついてしまいました。

しかし、田原氏の本では天皇をはじめ陸軍大将の東条英機も避けることを考えていたのが分かります。つまり、当時の日本を動かしていた人たちの大半は戦争を避けることを考えていたということになります。陸軍悪玉・海軍善玉という図式もおかしくなると思います。では、なぜ日本は戦争に向かったのでしょうか?

やらなかったら劣等国、やったら敗戦国

戦争はひとつの国の考えだけで始まるもんじゃないんだなと痛感しました。当時戦争を避けようとがんばっていた日本ですが、大国の情報は全く手に入らない上に、自分の国の情報は筒抜け状態でした。(すでにこの時点で負けていたんだなと思います。)なので、アメリカには日本がどうしたいかという考えが読めていました。当時の日本が戦争を避けようとしていた事も知っていたのにも関わらず、それを受け入れなかった様です。その背景には中国の怨念が強く、領土をとられ苦しめられた中国としてはただでは済ませたくないと思っていたようです。だから、どうしてもアメリカと手を組んで日本をつぶしたかった。日本も条件を提示して大国と並ぶ国に成りたかったんだと思います。そのぶつかり合いで戦争に向かうしか選択肢がなかったんだと思います。

やっても敗戦することは分かっていたが、やらなかったら世界で劣等国として生きていくしかなかったんだと思います。

その様な背景があり日本はこの歴史をたどる事を選んだんだと思いますが、戦争が悪いものとさせられるのが、結局その状況下での人間のアホさだと思います。日本軍においては劣勢だった状況を天皇や国民に知らせず、ましてや優勢だと嘘をついて戦い続けたのがアホらしく、そして、捕虜や兵士に対してのバカらしい扱いも何とも情けないと思います。こういった人間の考えを超えておかしな状況になるのが戦争という状況だと思います。

まとめは、まとめにならず

ここまで書いてきましたが、「だからなんだ」という感じです。戦争が起きるとすべての状況がおかしくなり平時でのまともな考えはなくなることはよく理解しています。そして、その状況に陥るのは一国の考えでは「戦争」にならず、多くの国がそれぞれの背景や状況を考え進んでいくんだと思います。

もう少し、いろいろな本を読んで自分の考えをまとめていきたいと思います。