Noriyasu_Katano's blog

脳科学や量子力学、政治や戦争に関して、日々の感じた雑感を書いていきます。

営みー『裸の島』

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photo by Don McCullough

『裸の島』は初めから最後まで登場人物が一言もしゃべらず一年が過ぎて行く映画です。まさに人間の営みって「これでいいんだ」って納得させられます。

冒頭の30分は父親と母親が水汲みをひたすら行います。離れ小島に住んでいる親子は畑にやる水を本土まで取りに行きます。そして、丘をのぼりイモに水を与えます。何度も往復して水を与えます。

親の帰りを待つ子供は、せっせと朝食の準備をします。朝食が済んで、また水を汲みます。兄は本土の学校に通います。母親は見送るついでに水を汲みます。乙羽信子のか細い体が今にも水をこぼしそうでハラハラです。そのうち桶をひっくり返し、夫が平手打ちします。でもひたすら水を汲みます。そうこうしていると学校が終わり、母親は迎えに行きます。迎えに行くついでに水を汲みます。

下の弟が夕飯の支度とお風呂をわかします。家族がそろい夕飯を済ませ、一日が終わります。次の日も水汲みから始まり、秋が来て収穫の時期を迎え、本土では収穫を祝う祭りが行われ、冬が来ます。正月が来て、春が来ます。家族も収穫を終え、開墾をし、新しい種をまきます。

梅雨の雨にも負けず、海藻とり、畑の肥料にします。たまに良い事が家族に訪れます。下の弟が大きな魚を捕ったのです。とった魚を本土で売りに行き、家族は売れたお金でカレーライスを食べます。

そして事件が起きます。兄が熱を出します。両親は朝の水汲みから大慌てで帰ってきます。親父は急いで本土に引き返し、医者を読んできますが、間に合わず死んでしまいます。

学校の友達が別れを告げに来て去って行きます。親子にはいつもの時が流れます。淡々と児島の親子を描くのですが、知らぬ間に時間が過ぎて行きます。たぶん俺の祖母もこうやって生活していたんだろうと思います。

今、こうやって物にあふれ便利になって行くと時間に余裕が出ます。しかし、人間の営みってこうゆう物で毎日がたんたんと過ぎて行く物なんだろうと思います。

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