Noriyasu_Katano's blog

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美術史の根源-『芸術学ハンドブック』

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photo by MTSOfan

絵画の起源は、ある娘が旅立つ恋人との別れを惜しんでそのシルエットを壁に移し取ったのが始まりであるとされています。

古代ギリシャでは芸術は対象を写し、自然を模写する「模倣の技術(ミメーテカイ・テクナイ)」といわれていました。

プラトンは模倣する対象は何の知識も必要としないとされ、「理想国家」から芸術家を追放しました。このプラトンの考えは当時のギリシャ哲学へのプラトンの考えが反映されています。

 プラトンは永遠に不変なものを求め続けたその考えは自然界を超えたもので、そこに目をむけない模倣の技術などはプラトンにとって興味の対象ではなかったと考えられています。

美学で生まれた自由技術がルネサンスで実現

美学をはじめて基礎づけたのはバウムガルテンです。彼は美学の定義として「自由技術の理論、下級認識論、美的思惟の技術、擬似理性の技術」であると述べています。

この「自由技術」が今日でいう一般芸術観念に相当します。そして美術を「自由技術」の境域にまで高めたのがルネサンス期の作家たちでした。

古代ギリシャからルネサンスまでの間、詩や音楽以外の絵画や彫刻家、諸工芸は職人としてでしか扱われなかったようです。

チェンニーノ・チェンニーニは「知に至る第二位の段階」に位する技術とみなされていた称しています。そして、レオナルド・ダ・ヴィンチは「美術は技術と同時に不可視のものを生み出し、存在しない物をあたかも現実のごとくに表し、備えるファンタジーの技を必要とするものである。」と述べています。このレオナルドの望みは後にアカデミーの設立により叶われ、画家は職人の身分を脱却し学者に準ずる社会的地位にまであがります。

とりあえず、まとめ

ここで言える事は芸術が哲学と密接に絡んでいる事です。しかしなぜ、詩や音楽の方が先に受け入れられていたのかが疑問に思います。ギリシャ彫刻は非常に洗練されています。しかし、それが自然の模倣に過ぎないという理由で職人扱いを余儀なくされていたという事は、想像が重視されていたのは詩や音楽のほうであったということになります。

 つまりどんな時代においても人の物まね、それが自然という人工物以外のものでも、人は下等と認識してしまうという事なんだと思います。

今度は詩と音楽の歴史を調べてみたいと思います。

芸術学ハンドブック

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